アーク溶接,溶接機,方法,種類,記号,TIG,ガス,スポット,継手,開先等-JIS規格

 

アーク溶接施工



すみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
すみ肉溶接は、すみ肉継手(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形状の断面をもつ溶接継手)で行う溶接のことです。
すみ肉溶接を行う溶接継手には、重ね継手(母材の一部を重ねた溶接継手)、T継手(一つの板の端面を他の板の表面に載せて、T形のほぼ直角となる溶接継手)、十字継手(十字形となる溶接継手)、角継手(2母材をほぼ直角にL字形に保つ、その角の溶接継手)などの溶接継手があります。

とつすみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
とつすみ肉溶接は、溶接部の断面形状から分類した、すみ肉溶接(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形の断面をもつ溶接)の一種です。
とつすみ肉溶接は、溶接部断面形状が以下の参考図のように、溶接ビード表面に膨らみをもった形状をしているすみ肉溶接です。

へこみすみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
へこみすみ肉溶接は、溶接部の断面形状から分類した、すみ肉溶接(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形の断面をもつ溶接)の一種です。
へこみすみ肉溶接は、溶接部断面形状が以下の参考図のように、溶接ビード表面にへこみがある形状をしているすみ肉溶接です。

エンクローズ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
エンクローズ溶接は、アークを熱源とするアーク溶接の一種で、アーク熱で溶融した溶融金属が溶接部から流れ出るのを防ぐために、溶融池(溶接中アークなどの熱によってできた溶融金属のたまり)を当て金を使って囲んで行う溶接方法のことです。

サーフェシングとは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
サーフェシングは、母材表面に金属を溶着させる方法の総称のことです。
サーフェシングには、例えば肉盛溶接(母材同士の接合ではなく、母材の表面に金属を溶着する方法)や溶射(溶融又はそれに近い状態の金属又は非金属溶射材料を母材の表面に吹き付けて皮膜を形成する方法)などがあります。

スロット溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
スロット溶接は、溝溶接とも言われ、重ね継手(母材の一部を重ねた溶接継手)において、重ね合わせた一方の母材にスロット状の細長い溝の孔をあけて、そこに両母材を接合する溶接のことです。
スロット溶接は、プラグ溶接(せん溶接)などと同様、すみ肉溶接だけでは接合強度が不十分な場合に補助的に用いられることが多い溶接です。

タック溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
タック溶接は、部材を組立て、本溶接を行うときに部材の位置を保持・確保したり、開先を正しく保つ位置決めのために、断続的に行う溶接のことです。

ナロウギャップ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
ナロウギャップ溶接は、狭開先溶接とも言われ、主に厚板の突合せ溶接(突合せ継手に用いる溶接)において、I形又はI形に近い形状の継手で、隙間の狭い開先で行う溶接のことです。

プラグ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
プラグ溶接は、せん溶接(栓溶接)とも言われ、重ね継手(母材の一部を重ねた溶接継手)において、重ね合わせた一方の母材に貫通穴をあけて、そこに両母材を接合する溶接のことです。
プラグ溶接は、スロット溶接(溝溶接)などと同様、すみ肉溶接だけでは接合強度が不十分な場合に補助的に用いられることが多い溶接です。

下盛とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
下盛は、肉盛溶接(バタリングとも呼ばれ、母材同士の接合ではなく、母材の表面に金属を溶着する方法)を行う場合に、母材表面に事前に割れにくい金属を溶着させる方法のことです。
下盛は、肉盛溶接の割れや、はく離の防止を目的としています。
下盛は、”したもり”と読みます。

回し溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
回し溶接は、すみ肉溶接(重ね継手、T継手、十字継手、角継手などにおいて、ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形の断面をもつ溶接)によって取り付けた母材の端部を回して溶接する方法のことです。

現場溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
現場溶接は、溶接物の設置される場所、或いは工場建屋外で行う溶接のことです。
例えば、建設現場の屋外で行う溶接なども現場溶接になります。
JIS規格における現場溶接の溶接記号は、黒塗りつぶしの三角旗で表されます。

後進溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
後進溶接は、溶接線(ビード、溶接部を一つの線として表すときの仮定線)に沿って行う溶接の進行方向に関する溶接方法の一種です。
後進溶接は、以下の参考図のように、溶接の進行方向が溶接トーチ(溶接電流及びシールドガスなどの供給を行う器具)或いはガンの方向と反対方向に進行する溶接のことです。

工場溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
工場溶接は、現場溶接(溶接物の設置される場所又は工場建屋外で行う溶接)と特に区別して用いられる場合、工場屋内で行われる溶接のことを意味します。
一般に、溶接を行う場合は、周囲環境その他の面から、溶接作業性、溶接品質などの面で現場溶接よりも工場溶接の方が有利になります。

硬化肉盛とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
硬化肉盛は、広義の意味では、肉盛溶接(母材表面に硬化、耐食、補修、再生などの目的に応じた所要の組織と寸法の金属を溶着する方法)の一種で、特に、耐摩耗を目的として硬い金属層を母材表面に溶着させることをいいます。

千鳥断続すみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
千鳥断続すみ肉溶接は、溶接した部分と溶接しない部分とが交互に存在する断続すみ肉溶接の一種です。
千鳥断続すみ肉溶接は、以下の参考図のように、T形溶接継手(一つの板の端面を他の板の表面に載せて、T形のほぼ直角となる溶接継手に行う溶接)の両面から断続すみ肉溶接を行う際に、両側のそれぞれの溶接ビードを互い違いに置いていく断続すみ肉溶接です。

前進溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
前進溶接は、溶接線(ビード、溶接部を一つの線として表すときの仮定線)に沿って行う溶接の進行方向に関する溶接方法の一種です。
前進溶接は、以下の参考図のように、溶接の進行方向が溶接トーチ(溶接電流及びシールドガスなどの供給を行う器具)或いはガンの方向と同じで進行する溶接のことです。

前面すみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
前面すみ肉溶接は、溶接部に作用する荷重(応力)の方向によって分類した、すみ肉溶接(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形の断面をもつ溶接)の一種です。
前面すみ肉溶接は、以下の参考図のように、溶接線(ビード、溶接部を一つの線として表すときの仮定線)の方向が、伝達する荷重(応力)の方向にほぼ直角に溶接されるすみ肉溶接です。

側面すみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
側面すみ肉溶接は、溶接部に作用する荷重(応力)の方向によって分類した、すみ肉溶接(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形の断面をもつ溶接)の一種です。
側面すみ肉溶接は、以下の参考図のように、溶接線(ビード、溶接部を一つの線として表すときの仮定線)の方向が、伝達する荷重(応力)の方向にほぼ平行に溶接されるすみ肉溶接です。

多層溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
多層溶接は、二層以上の複数の層(一つ又はそれ以上のパスからなる溶接金属の層)の溶接ビードを重ねて置いていく溶接のことです。

耐食肉盛とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
耐食肉盛は、広義の意味では、肉盛溶接(母材表面に硬化、耐食、補修、再生などの目的に応じた所要の組織と寸法の金属を溶着する方法)の一種で、特に、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金などの耐食・耐熱合金を母材表面に溶着させることをいいます。

断続すみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
断続すみ肉溶接は、すみ肉継手に溶接する溶接線(ビード、溶接部を一つの線として表すときの仮定線)へのビードの置き方によって分類した、すみ肉溶接(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形の断面をもつ溶接)の一種です。
断続すみ肉溶接は、以下の参考図のように、溶接した部分と溶接しない部分とが断続的に交互に存在するすみ肉溶接です。

突合せ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。突合せ溶接は、突合せ継手に用いられる溶接で、二つの部材(母材)を、ほぼ同じ面内で突き合わせて、開先(グルーブともいい、溶接する母材間に設ける溝)を設けて行う溶接のことです。

肉盛溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
肉盛溶接は、母材同士の接合ではなく、母材の表面に目的に応じた金属を溶着する方法のことです。
肉盛溶接は、母材表面を硬化させたり、耐食性の向上、母材の補修・再生など、それぞれの目的にあった金属の溶接材料で母材表面にビードを置きます。
肉盛溶接は、バタリングと呼ばれることもあります(パンにバターを塗ることに似ているため)。

並列断続すみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
並列断続すみ肉溶接は、溶接した部分と溶接しない部分とが交互に存在する断続すみ肉溶接の一種です。
並列断続すみ肉溶接は、以下の参考図のように、T形溶接継手(一つの板の端面を他の板の表面に載せて、T形のほぼ直角となる溶接継手に行う溶接)の両面から断続すみ肉溶接を行う際に、両側のそれぞれの溶接ビードを母材を挟んで同じ位置に並べて置いていく断続すみ肉溶接です。

(T継手の)片側溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
T継手の片側溶接は、T継手(一つの板の端面を他の板の表面に載せて、T形のほぼ直角となる溶接継手)において、下の参考図のように、T継手の片側だけから行う溶接のことです。

(すみ肉継手の)片側溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
すみ肉継手の片側溶接は、すみ肉溶接(ほぼ直角に交わる二つの面のすみに溶接し、三角形の断面をもつ溶接)の一種で、下の参考図のように、溶接する母材を重ねた部分の片端面のすみを溶接するすみ肉溶接のことです。

(突合せ継手の)片面溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
片面溶接は、片側溶接とも言われ、下の参考図のように、突合せ継手(母材がほぼ同じ面内の溶接継手)の溶接において、片側(片面)からだけ溶接ビードを置く溶接のことです。
裏側の面には裏当て金を用いる場合もあります。

補修溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
補修溶接は、溶接継手におけるよ溶接欠陥の修正や寸法、形状の不整などを修正するために行う溶接のことです。

裏はつりとは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
裏はつりは、突合せ溶接(突合せ継手に用いる溶接)において、開先底部の溶込み不良(溶接欠陥の一種で、完全溶込み溶接継手の場合に溶け込まない部分があること)の部分、或いは溶接ビードの第一層部分などを裏面から はつり取ることです。
突合せ継手の被覆アーク溶接などの初層は、融合不良、ブローホール、スラグ巻き込み、割れなどの溶接欠陥が生じやすいので、一般に重要な継手の場合には、裏当てを用いるか、完全な裏波が得られる片面溶接の場合を除いて、裏はつりを行う必要があります。

裏当てとは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
裏当ては、開先の底部に溶接ビードを置く面と反対側の裏面から母材継手部分にあてるもののことです。主に、金属板や粒状のフラックスが用いられます。
裏当ては、金属板で母材と共に溶接される場合には、裏当て金と言います。
その場合、裏当て金も溶接金属の生成に関係するので、接合される母材や溶接材料に適合するものを使用する必要があります。

裏波ビードとは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
裏波ビードは、片側溶接(片側だけから行う溶接)において、裏側に形成される整った波形の溶接ビード(1回のパスによって作られた溶接金属)のことです。
裏波ビードが得られる溶接を裏波溶接といい、外側面からのみで完全溶込み溶接が要求されます。

裏溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
裏溶接は、裏側から行う溶接のことです。
裏溶接の際に溶接欠陥が生じないようにするためには、裏はつり(突合せ溶接で、開先の底部の溶込み不良の部分又は第一層部分などを裏面から はつり取ること)を適正に行うことも重要な要素になります。

(T継手の)両側溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
T継手の両側溶接は、T継手(一つの板の端面を他の板の表面に載せて、T形のほぼ直角となる溶接継手)において、下の参考図のように、T継手の両側から行う溶接のことです。

(すみ肉継手の)両側溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
すみ肉継手の両側溶接は、すみ肉溶接(ほぼ直角に交わる二つの面のすみに溶接し、三角形の断面をもつ溶接)の一種で、下の参考図のように、溶接する母材を重ねた部分の両端面のすみを溶接するすみ肉溶接のことです。

(突合せ継手の)両面溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
両面溶接は、両側溶接とも言われ、下の参考図のように、突合せ継手(母材がほぼ同じ面内の溶接継手)の溶接において、母材の表面と裏側の両面から溶接ビードを置く溶接のことです。

連続すみ肉溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
連続すみ肉溶接は、すみ肉継手の溶接線(ビード、溶接部を一つの線として表すときの仮定線)において連続的にすみ肉溶接(ほぼ直交する二つの面を溶接する三角形の断面をもつ溶接)を行う溶接のことです。
連続すみ肉溶接は、千鳥断続すみ肉溶接や並列断続すみ肉溶接などの断続すみ肉溶接と区別する必要があるときに使われる言葉で、特に区別の必要がない場合は、単にすみ肉溶接と言えば、連続すみ肉溶接のことを指すのが一般的です。

漏れ止め溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接施工に定義される用語の一つです。
漏れ止め溶接は、耐圧強度など、溶接部に強度を持たせるような目的はなく、流体の漏れを防ぐだけの目的で行う溶接のことです。